子供が社会人になれば、親としてはようやく一息つけるといったところでしょう。
しかし現在、そういった社会人になりたての若年層にターゲットを絞った悪質なネットワークビジネスが猛威を振るっています。
その背景にあるのは現代の若者の心理を巧妙に利用した勧誘です。
ライツリサーチでは、プロの調査員と心理カウンセラーがタッグを組み、ご家族が悪質なネットワークビジネスに関わってしまった場合のトラブルの解決を行なっています。今回は若者に忍び寄るネットワークビジネスの罠についてご紹介しています。
もし、現在ご家族やご友人がこのような怪しいビジネスに加担している場合は、すぐに専門家までご相談ください。ライツリサーチでは全国対応の無料相談窓口を設けております。
現在のネットワークビジネスの形
SNSにより変化するネットワークビジネス
ネットワークビジネスの形態自体は昔からありますが、スマートフォンの普及に伴い、知人の紹介が主だった勧誘が、SNSを通じたよりダイレクトなやり取りに変化しています。
知人を総当たりするような勧誘だと、親や友人などのコミュニティの中ですぐにその話が出回り、対処されてしまいますが、SNSではそういった邪魔も入りにくいため、家族が事態に気付いたころには、かなりのところまで、のめりこんでいる場合があります。
なぜ若者がネットワークビジネスに手を出すのか
SNS時代ということもあり、同年代の成功例が(内容の真偽はともかく)頻繁に目に入りやすい状況にあります。
キラキラした部分が前面に押し出された情報が頻繁に目に触れると大なり小なり「自分はこのままでいいのか」といった焦燥感を抱えてしまうというの理解できる部分があると思います。
若者をターゲットにしたネットワークビジネスはそういった若者の承認欲求や功名心を巧みに利用することで成り立っています。、
参入ハードルの低さをアピールすることで、特別な才能がなくても自分でも手が届くのではと錯覚するように仕向けるのです。
よく使われるワードは
- 賢く稼ぐ
- 大きく稼ぐ
- すでにこれだけ稼いでいる
です。
若年層をターゲットにしたネットワークビジネスの特徴
資産のあるなしは関係ない
新社会人をターゲットにしたネットワークビジネスでは、資産や大きな収入がある人物は対象としていません。
現状をどうにかしたいという欲求が強いのは資産や収入に不満がある層だからです。
なので、そういった層を狙ってターゲットをフィルタリングしています。
また、序盤ではターゲットを深追いはあまりしないという特徴もあります。
根気よく説得・誘導するよりも、次から次に相手を変えて、はじめから引っ掛かる人間を見つけたほうが効率がいいからです。
そういった意味でもSNSを中心とした勧誘との親和性が高いと言えます。
では、あまりお金を持っていない若年層をターゲットにすることにどういった旨味があるのでしょうか
若年層を取り込む目的
一つは単純な労働力としてです。
ネットワークビジネスは勧誘によって成り立っているため、勧誘の件数が物を言います。とにかく数をこなす必要があるため、体力のある若者はそれだけで価値があります。
借金などをさせ易い
ローンなどはまだ組んでいないことが多いため、金融機関等から借金させる枠はそれなりにあります。
ネットワークビジネスを始めると、手持ちの資金はみるみる目減りしていくので、自然に借金をする方向に誘導されます。
親を巻き込むことができる
親も大半が現役世代です。
そういったところからお金を引っ張ってこさせるのは常套手段で、そのためのマニュアルも存在しています。
なぜネットワークビジネスは廃れないのか
手口は年々巧妙さを増している
端的に言えば儲かるからです。
大半の人間が見向きもしないような儲け話でも、必ず一定の割合で引っかかる人間というのは存在します。
その中で自分の言うことを聞く人間が数人でも集まってしまえば、自分が何かする必要すらありません。
大きく儲かるのは仕掛けた側のトップ層だけですが、それらを目の当たりにした層が見様見真似で暖簾分けのような事を繰り返し、世代を重ねるなかで、手法はマニュアル化され、ターゲットに合わせて先鋭化されていきました。
そうやって手を変え品を変え生き残り続けているのです。
ネットワークビジネスが行う洗脳の手口
洗脳・マインドコントロールは特殊なものではない
洗脳・マインドコントロールと聞くと監禁や暴力、薬物などが連想されますが、それは手法のごく一部でしかありません。
そういったものに頼らない方法でも、第三者による思考の誘導という広義の意味での洗脳・マインドコントロールは実現可能です。
洗脳・マインドコントロールを強めるための重要なのが、対象の余裕をなくさせることです。
余裕とは「睡眠」と「お金」です。
睡眠をとらせなくする
思考力を奪うために、睡眠時間を削らせます。
休日はすべて活動に費やされますし、当然平日にも行われます。
人に会うにも仕事や相手の都合があるため、基本的には夜になります。
アポイントが取れたらどんなに離れていても会う必要があるため、帰宅が深夜になることもざらです。
また、勧誘がうまくいってもいかなくても、そのあと組織での上役にそのことを報告し、指導を受けます。
深夜には集会やビデオ通話などで勉強会と称した活動もあります。
本職の合間に活動を行う必要があるため、とにかく時間が足りなくなります。
お金の余裕をなくさせる
前述のとおり、ネットワークビジネスを始めると商材にもよりますがセミナーに参加させられ、本やDVDを買わされたりとみるみる資産が目減りしていきます。
そういった流れで貯金を吐き出してしまうと自然と借金をするように誘導されます。
並行して狙われるのは親です。
お金の余裕がなくなれば恫喝まがいのことも平気で言うようになります。
段階的に洗脳・マインドコントロールの強度を強めていく
睡眠時間を削らせる、お金の余裕もなくなってくると、身体的にも精神的にも人は従順になります。
結果が出ていないことを紐づけて
「仕事をしているから結果が出ない」「これ一本に絞ったほうがいいんじゃないか?」
などといって仕事を辞めさせ、退路を断たせます。
そうやって後戻りができない状態にさせることで、より洗脳・マインドコントロールを強めていくのです。
なぜ余裕がなくなってもやめることができないのか
心理学でいうところの「コンコルド効果」です。
いままでつぎ込んだお金や労力を諦めることができずに、ずるずるとそのまま続けてしまう状態を指します。
金融取引において、損失が出ているのに損切ができなかったり、負けが込んでいるギャンブルがやめられないのと同様の心理状況です。
仕事を辞めさせた後は
一見仕事をさせながらのほうがお金を絞れていいのではないかという発想をしてしまいますが実は違います。
若者はそれだけ利用方法があるのです。
ターゲットに金銭的な旨味が少なくなってくると、使い潰しの段階に入ります。
それまでの段階で勧誘などで実績をあげることができ、騙す側に回ることができるのはごく一部です。
そうなれなかった場合、安易かつリスクの高い手法に誘導されます。
携帯電話や銀行口座、法人などを作らせてその名義を売買させたりするのは序の口で、女性の場合は水商売や風俗を紹介されることが多いです。
特殊詐欺の出し子や受け子などの下働きや、薬物売買の片棒を担がされたりもします。
そういった意味でのリスクは選り取り見取りです。
男性の場合、数は少ないですが、人身売買的に海外の過酷な工事現場で働かされることになってしまっているケースも存在しています。
子供をネットワークビジネスから引き離すためには
理屈や感情に頼った説得は効果は薄いです。
そもそも、たとえ親であっても、理解がない人物の話は聞かないように教育されているため、敵対行為とみなされ、逆効果です。
明確な犯罪行為が立証できない場合、警察や行政に通報したとしても具体的な協力を得ることが難しいでしょう。
こういったケースを解決するには、個人ではどうしても難しいため、すぐに専門家にご相談ください。